凝析と塩析
コロイドの沈殿についてこんな感じで習った人も多いのではないでしょうか。
疎水コロイド…少量の電解質を加えると沈殿する = 凝析が起こる
浸水コロイド…多量の電解質を加えると沈殿する = 塩析が起こる
でも、「なんで疎水と親水で違うの?」って気になりますよね。今回はここを解説します。
疎水コロイドと凝析
疎水コロイドは名前の通り「水と相性が悪い」コロイドです。水と相性が悪いので水には溶けません。
疎水コロイドは水には溶けにくいんだけど、その代わりに「電荷」をもっています。
電荷をもつことでお互いに反発しあって、水中に分散することができるわけです。
疎水コロイドが沈殿せずに水中にいられるのは、電荷があるから!
さて、ここに少量の電解質を入れると、疎水コロイドが持っていた電荷が打ち消されてしまって、お互いに反発できなくなる。その結果、沈殿してしまいます。これが凝析のしくみです。
疎水コロイドの電荷を打ち消すだけなので、電解質は少量でOKということです。
親水コロイドと塩析
親水コロイドは反対に「水と相性が良い」コロイドです。だから、周りに水分子が集まってきて「水和」が起こります(このあたりは、普通の化合物が水に溶けるのと同じしくみです)。
親水コロイドは、普通の化合物と同じように水和している!
では、親水コロイドを沈殿させるにはどうすれば良いでしょうか?正解は「周りに集まっている水分子をはがす」です。
ここで電解質の話が出てきます。電解質も水ととても相性が良いので、電解質の周りにも水が集まります。
そして電解質を多量に加えると、親水コロイドの周りに集まっていた水分子さえも電解質の周りに引きつけられてしまいます。
周りの水分子を奪われてしまった親水コロイドは、残念ながら沈殿してしまいます。
これが塩析のしくみです。
今回は以上です。
コロイドの電荷についてはまた別の記事でもお話しします。
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