水銀柱の問題は、苦手とする人がめっちゃ多いので、問題を解くための道具を整理してみましょう。
水銀柱と大気圧
昔々、水銀を試験管に満たして、逆さまに立てた人がいました。
試験管の中は初めは水銀で満たされていますが、みるみる水銀の液面は下がっていき、ある高さで止まりました。
(下図をイメージしてください。)

そして興味深いことに、液面が止まる高さはいつも「760 mm」だったのです。
さて、これは何が起こっているのでしょうか?(普通に考えれば重力にしたがって、液面は一番下まで下がるはずです。)
答えは、「大気圧」ですね。下図のように「大気(空気)が液面を押す圧力」と「水銀柱が液面を押す力」がちょうど釣り合うのが、760 mmだったわけです。

大気圧は、標準的には「1.013×105 Pa」(日によっても変動はありますが)なので、水銀柱の高さもいつも「760 mm」だったわけですね。
そして、このことから「水銀柱の高さを圧力の単位にしてしまおう」ということで「mmHg(ミリメートル水銀)」という単位が生まれました。
大学受験では下の公式を覚えましょう!
水銀柱と大気圧の関係
760 mmHg = 1.013 × 105 Pa
テストにはこう出る!
簡単な例題を解いてみましょう。
例題
大気圧1.0 × 105 Paのもとで、水銀を満たした試験管を立てたところ、水銀柱は760 mmの高さになった。この試験管に気体Aをいれたところ水銀柱の高さは570 mmとなった。この気体Aの圧力は何 Pa?
解答
まず、問題の状況を描いてみると下のようになります。

液面が下がった原因は、「気体Aが液面を押すから」です。気体Aの圧力に押されて水銀の液面が下がりました。
この力関係を矢印でかいてみましょう。

まず、圧力は「Pa」で表してもいいし「mmHg」で表してもどちらでも大丈夫です。
水銀柱の問題に関しては「mmHg」の方が解きやすいので、すべて「mmHg」に統一します。
すると、大気圧は760 mmHgです。また水銀の圧力は液面の高さと同じなので、570 mmHgとなります。
では、気体Aの圧力はどうでしょうか。
試験管内の下向きの力と、試験管外の下向きの力は釣り合うので、760 mmHg – 570 mmHg = 190 mmHg ですね。
問題文では気体Aの圧力は「何 Pa」と聞かれているので、「mmHg」を「Pa」に直しましょう。
「mmHg」と「Pa」は当然比例するので、次の計算で求まります。
$$ 1.0 \times 10^5 \times \frac{190}{760} = 2.5 \times 10^4 Pa $$
解説は以上です。
問題を解くコツ…圧力を「mmHg」で表す。
今回は、簡単な問題をやってみましたが、試験ではもっと複雑な問題が出ると思います。
問題集等で練習してみてください。
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